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テレビ出演、鑑定会、シャーマン協会会長のお宅訪問の翌日は
ウランバートルを離れダルホン市で手相鑑定会でした。いよいよ全国ツアーinモンゴルらしくなってきました。
この日モンゴルでは、5月なのにめずらしく雪が降り、街が一面真っ白になりました。珍しい光景に少しワクワクしました。
早朝、ガイド兼ボスがタクシーで迎えにきてくれました。
僕のワクワクとは裏腹にタクシーに乗るとボスが不安そうな顔をしていました。
実は早朝にボスの別の携帯に警察から電話がかかってきていたそうなのです。
どうもテレビを見た視聴者の中にプロパガンダおばさんと同様の考えをもった人たちが警察に「あいつは危険な思想をもった人間だ、取り締まって国外退去させてほしい」ということで通報が入っていたらしいのです。
「にしけいさん、警察から呼ばれてイマス。ドウシマスカ?今から警察イキマスカ?」
え?行きますか?って、これ選択肢あるの?
「え?警察に行った方がいいですか?」
「ドウシマスカ?イキマスカ?」
これドラクエで言ったらバグじゃん。選択肢コマンド「はい」を選ぶまで話進めないヤツじゃん。
「あ、じゃあ行きましょう」
「ワカリマシタ。ワタシがちゃんとついているので大丈夫デス」
ということで、人生初の警察出頭。まさかのモンゴルで。
昨日までテレビに出ていたメーテルが翌日の同じ時間には警察の取り調べ室にいるというなんとも不思議な話です。
まず、警察に呼び出された内容はやはりテレビの一件でした。
僕たちはまったく知らなかったのですが、あの30分のテレビの放送はモンゴル人たちにはかなりインパクトがあったらしく、facebookやSNSで大炎上し、一躍モンゴルの中で有名人になってしまったのです。時の人というか。
(写真は撮れなかったのでここからはイラストでお送りします)
実は翌朝僕のFacebookアカウントには大量のモンゴル人からの友達申請やメッセージがきていたのですが、ここまで議論が起こり炎上しているとは全く想像していませんでした。
炎上の主な内容は
1.チベット仏教やシャーマンといった同業者と思われる人たちからの批判。
2.その熱心な信者や保守派からの批判。
3.黒い服装への批判。
そして1-3どれも賛成派と反対派が対立していたようで、それでもやはり批判的な意見が多かったみたいです。
3の服装については、あとで知ったことなのですが、どうも僕が出演した番組はそこそこ真面目な雰囲気の番組らしく、ゲストはスーツとか正装が多かったので、メーテルコスチュームはそぐわなかったという意見があったそうです。
それに対してデザイナーやファッション関係の人たちは「あれはクールじゃん。わからないヤツはセンスがない」みたいなスタンスだったらしくて、当の本人もよくわからないところで火がついているようでした。
で、通報が多かったのは2の人たちで、やっぱりプロパガンダというキーワードが出てくるぐらい思想を変えようとしている変な日本人として捉えたらしく
彼らからの苦情が多く、警察も動かざるをえなかったようです。
まさかテレビで手相の話をしただけなのに、国の機関が動くとは予想できませんでした…
取り調べはほとんどボスがモンゴル語で答えてくれて、僕は何も悪くないと主張してくれました。そして取り調べしている警察官も「うーん、まぁいちおう苦情があったからなー」という感じでした。
前髪たれぞうスタンプも発売してるぐらい前髪がたれている僕はまず、パスポートと写真と見比べるために「髪をかきあげて顔を見せろ!」と言われました。
「もっと見せろ!」
「もっと上まで髪の毛をあげろ」
「耳のところまで見せろ」
「もういい、わかった」
と、とにかく前髪をあげて顔を確認されました。
あとは取り調べ中、取り調べ内容を事細かくメモするためにスマホをいじっていたら「スマホをさわるのをやめろ!」と注意されました。いやいや、スマホさわりながらでも取り調べできるやん。
出頭命令を受けつつもとりあえず雪降ってるし記念写真を撮ってもらうにしけい
僕がモンゴル警察に取り調べで聞かれたこと…
1.日本では何の仕事をしているんだ?それを証明するものはあるか?
1問目から答える、わかってもらえるのに苦労する質問が来ました…
日本でさえ自分の仕事を説明するのに苦労しているのに、さらにそれを証明するものって言われてもな…
にしけい容疑者はスマホの使用とwi-fiの接続を要求しました。だってこのサイトを見てもらうのが1番早いですし、証明するものっていったって株式会社ポンもまだ設立して1週間ですから名刺や社員証すらできていません。
困りに困った僕はボスに助けを求め最終的に「占いの研究と教室と占い師の派遣をしてる」と答え、自営業の朱翠藍堂の名刺を渡しました。
2.ビザは何できたか?
日本人はモンゴルに来る際ビザは基本的にいらないのですが、どうもこのあたりをつついて僕を強制退去させようとする意図にはすぐに気がつきました。
実は前日の鑑定会の様子を通報をうけた警察がガサ入れにきていたらしく、そこで「お金をとっている」ということで入国違反として帰国させようとしていたみたいです。
しかし、実際僕は手相は見ているもののテレビ出演や通訳さんへのギャラでお金をもらうどころか超赤字です。
また、シャーマン協会の会長にお会いしたり、シャーマンに会うということで「ビジネス」ではなく「調査研究と観光だ」ということも主張しました。
3.いつから手相の勉強や仕事をしているんだ?
10年ぐらい前からです。
4.どうやって手相を習得したんだ?
独学です。
5.先生はいるのか?ライセンスはあるのか?
独学です。ライセンスはありません(あるわけないじゃん)
6. どこの国をまわって手相を見てきたんだ?
インドから始まり… (だからこのブログ読めれば1番早いやん)
7. 日本で本当に教室をやっているか?それを証明するものはあるか?
そんなもの持ち歩いて海外くるわけないじゃん、と思いながらも
ipadに授業用テキストのpdfファイルが入っていたので見せました。
スマホはダメだけど、ipadはよさそうだったので、ここからiPadを堂々と出してメモとイラストを描き始めました。言葉がわからずヒマだったので絵ぐらい描いてもいいかなって。
8. このテキストは誰が作ったんだ?
僕です。
9. 手の何を見ているんだ?
(その質問は場合によっては逆にあなたを数十時間拘束することになるが、よろしいか?)
と心の中で思いながら、簡単な手相の見方を説明しました。
10. 何を占うことが多いんだ?
お客さんによりますけど、恋愛とか仕事ですかね。
11. なんであなたにわざわざお客さんがくるんだ?
そりゃ理由はいろいろでしょ。
12. この陰陽と書いてある絵はなんだ?
手の中には陰と陽があって、手の指側が陽で手首側が陰です。これで説明していくと手相のほとんどがよくわかってきます。
といった関係あるのかないのかわからなさそうな質問も含めていろいろ聞かれましたが、どうもやはり今回の取り調べは「宗教がらみ」の要素が強そうです。
先生や僕の背後になにか大きな団体や組織がいないか?をあぶり出そうとしているようで、それが出てこなかったのでとりあえずはシロということを認めてくれました。
で、最終的にこの一連の流れをボスがモンゴル語で始末書を書いてくれて、それと僕が番組などで使った資料や名刺、それから教科書の画面のスクショなどを証拠として提出しました。
終始手相を見てほしそうでしたし、手相やにしけいがどんな人間かがわかり解放してくれましたが、パスポートのみは入管に送られることになりました。
完全にシロだったのですが、いちおう「使ったお金>稼いだお金」が本当なのか領収書などの書類を集めて提出しなくてはならず、場合によっては出入国停止、罰金があると言われました。
あとで聞いた話によると、本来はこうなった場合、警察や入管にずっと拘束されるケースが多いようですが、もともと僕は何も悪いことはしていないので、パスポートを取り上げあげられたままですが、自由に観光することができました。
もちろんパスポートがないと出国やホテルでチェックインができないといった支障が出るため、ボスと僕はすぐさまパスポートを取り返しに入管へ向かいました。
にしけい