言語・Webページ・占いから見る東洋および日本人の傾向

「はさみでかみをきる」と言われたときに、この場合の「かみ」は髪(hair)なのか、紙(paper)なのかは音声だけでは判断がつきません。

「かみ」と言っても、「髪」や「紙」以外に「神」や「上」なども存在します。つまり「同音異義語(ホモニム)」です。

他の国の言語を勉強していると、日本語には「同音異義語」が多いことに改めて気付かされます。日本漢字能力検定によると、もっとも多い同音異義語は「コウショウ」の48個らしいです。そして、漢字を生み出した中国語にも同音異義語が多いです。

漢字は視認できれば「髪」と「紙」が全く別のものだと理解できるのですが、中国語も日本語も音声のみでは識別しにくい同音異義語がたくさんあります。英語やフランス語にも同音異義語はありますが、中国語や日本語に比べるとまだ楽な気がします。

 

音声による同音異義語を識別するためには…

1.音韻認識能力(アクセントやイントネーションを識別する)
2.言語的文脈理解力(会話や文章の前後関係から適切な意味を推測)
3.語彙力(各単語の意味や用法を理解する能力)
4.文法理解力 (助詞や助動詞などから推測)
5.認知的柔軟性 (切り替えの速さ)

といった能力が必要になります。

「かみ」が何なのかを判断するための精度を高めるには、前後の会話や文脈をより多く収集していく必要があります。

そのため、自然と中国語や日本語は「収集する情報量」が増えていきます。それに伴って、私たち日本人は比較的、収集する情報が多いことに慣れています。

 

日本のWebサイトの異常さ

 

よく海外から「日本のWebサイトはごちゃごちゃしていてスマートじゃない!」というような意見があり、たびたび議論されています。

 

The design of Japanese websites: information overload
How Japanese Visual Design Becomes a Way to Communicate Information
https://bootcamp.uxdesign.cc/common-elements-in-japanese-web-design-93cdec731dde

The overwhelming world of Japanese web design
https://medium.com/@maxwellforrest/the-overwhelming-world-of-japanese-web-design-2d41ad447297

Website Design
How Japanese Website Design Differs From The West
https://www.infocubic.co.jp/en/blog/website-design/how-japanese-website-design-differs-from-the-west/

 

ざっくりまとめると、「楽天市場」のような情報過多すぎるサイトが日本にはまだまだ現役で重用されていて疑問視されているわけです。

「ホワイジャパニーズサイトごちゃごちゃ?」の理由には、ガラケーが普及しすぎていてスマホのレスポンシブが遅れたとか、高齢化によってパソコンからインターネットをする人がまだまだたくさんいるから…といった理由が挙げられています。

 

情報が多い方が識別の精度が高まる

 

しかし、その理由のひとつに「日本人は”情報が少しでも多い方がいい”という観念が根底にあるのではないか?」という説があります。

これは冒頭に説明した「同音異義語(ホモニム)」の話にもリンクしてきます。

「かみ」をより正確に理解するために前後の情報をたくさん収集しようとするのと同じで、日本人はたくさんの情報を収集し処理することに慣れていて、情報が少ないことは「不親切」とさえ感じる人が多いのではないでしょうか。

また、特定の単語の意味やニュアンスを識別するためには文章全体を把握する必要があります。断片(fragmented)ではなく全体性(Horistic)を意識する必要があります。特定の部分のみを切り取って判断するのではなく、全体を認識した上で判断するのです。

断片的に「A」のみに注視する場合と違って、全体性が生まれると「AとB」「AとC」といった「関係性」や「相関性」が生まれてきます。登場人物が増えば増えるほど、⇔が増えるようなイメージです。

 

東洋系の占いの傾向

 

これは僕の独断と偏見ですが、東洋系の占いは五行をはじめとした「相関性」に着目するシステムを採用しているものが多いのではないかと考えています。

特定の断片やキャラクターを切り取るのではなく、全体性と相互作用性を重視するシステムが採用されている占術が多いです。それでいて要素と要素が複雑に絡み合い有機的に組み立てられている仕組みが多いなと感じます。

特定のシンボル「A」のみから判断するのではなく、「AとB」「AとC」といったつながりや、「状況KにおけるA」といった場との相互作用を重視する傾向があります。

断易や四柱推命などは特にこの要素が強くて、情報量も自然と多くなりますし、部分ではなく全体を意識しながら推理する必要があります。そういった背景から西洋占術に比べて「入門」といえど情報量が多くなりやすく、ユーザーを選ぶのではないかと考えています。

 

情報過多と全体性

 

言語、Webページ、占いという3つの観点から日本人は比較的

1.情報過多に慣れている
2.全体性を好む
3.関係性を意識する

といった傾向があるのではないかと考えています(もちろん個人差ありです)。

4月にこのホームページを一新して、すっきりとしたサイトに作り替えたのですが、3ヶ月経った現在また少しずつごちゃごちゃ度が強くなりつつあります…なんかごちゃごちゃしているほうが落ち着くんだよな…

 

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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