本を読んだ時に「この本よかったなー!」と思える本は、自分の中にある固定観念を壊してくれたり、凝り固まったセルフイメージを壊してくれるものだと思います。つまり、「新しい発見=既知情報の更新=固定されたイメージの破壊」になるわけです。もちろん、読み手がセルフイメージを壊したい、自分の中にある固定された考えや停滞感を払拭したいという強い気持ちがあれば、どんな本を読んでも「いい本だった!」となります。
そして、こういった「いい本だった!」「読んでよかった!」という本はまた読みたくなります。人間で言えば、「また会ってみたい」「また話をしてみたい」という気持ちと同じです。
僕は仕事柄、「占い師としてお客さんがついてきません」「どうやったらファンがつきますか?」といったご質問を受けることが多いのですが、単純に「会えてよかった」「なんか話ができてよかった」と思ってもらえれば、何かあった時に「またこの人に会いたい」となるはずです。
お仕事とか立場とか関係なく、「また会いたいと思える人」というのは、「また読みたいと思える本」と同じで、自分の中にあった固定観念を壊してくれたり、新たな可能性を感じさせてくれる人なのです。
例えば、「3+5=8です」「人を殺してはいけません」「草は緑色です」というような当たり前のことを書き続けている本を読んだ時に、大きな発見はあるでしょうか。「固定観念が壊された…!」という感覚は芽生えるでしょうか。
こういった本は既に自分の中にある情報や知識を「確認」することはできるかもしれません。「ああ、よかった。やっぱり3+5=8だよな」と安心することはできるかもしれません。しかし、記憶や印象には残りませんし、その本をまた読みたいとは思わないでしょう。あなたは小学1年生の算数の教科書をまた読みたいと思いますか?
既に知っている情報は、一言で言えば「無難」です。固定観念が強まることはあっても、壊れることはありません。そのような「無難な情報」を提供する人は、一言で言うと「自分が可愛い人」です。自分可愛さというのは「セルフイメージの保守」なのです。
自分が可愛い、嫌われたくない、困難を回避したい、バカだと思われたくない、失敗したと思われたくない、見下されたくない、すごいと思われたい、離れていって欲しくない、役に立つと思われたい、自分の立場を保守したい…というのは全てセルフイメージの保守です。こういったセルフイメージの保守に固執すると、無難な選択をしたり、特定の誰かに嫌われないような選択をするようになります。
そのような背景があると、「3+5=8です」といった無難なことを言うようになります。「自分の言葉」ではなく、誰かの言葉を引用したり、間違いがないように選択するようになるのです。確かに、そのほうが楽です。でも、話をしていても全然おもしろくありません。好きにもならないし、嫌いにもならない。著者が自分可愛さで無難なことを書き続けていたり、誰にも責められないように曖昧なことを書き続けている本があったら、あなたは読みたいと思いますか?確かに間違いはないかもしれませんが、それは毒にも薬にもならない本になってしまうと思うのです。
SNSを更新すれば集客につながる、ココナラでDMで営業をかければよい、占い小屋に所属すれば大丈夫、といったテクニックやツールはたくさんあります。それは本を手に取ってもらう(自分を知ってもらう)ためには有効かもしれません。しかし、結局手に取って読んでみておもしろくない本だったら、また読みたいとは思わないわけです。
「自分可愛さを壊すことがイメージできない!」という人は少年漫画を読んでみてください。少年漫画の主人公がやっていることは、だいたいセルフイメージの破壊だと思います。強敵や困難に立ち向かい、修行をしたり、工夫をしたり、協力したりする中で成長する。だから仲間がついてくるし、読者も応援したくなるのです。
ただ、自分のキャラや本音を出せばいいと言っているわけではありません。やみくもに有難(無難の逆)なことをやればいいと言っているわけでもありません。まずは、なぜ自分はセルフイメージを壊したくないのか。これを考えていくことが大事なのです。必死に守ろうとしているセルフイメージなんて、だいたいがしょうもないですし、最終的に他人に利用されたり、足元をすくわれておしまいになることが多いのです。
「自己肯定感」と「マイペース」と「セルフイメージの固定」は、また別のものなのです。本当の自己肯定感も本当のマイペースも、どちらも固定されたセルフイメージの破壊によって作られるのではないでしょうか。
もうこれから毎日の星座占いのメッセージは全部「セルフイメージをぼきゃぼきゃに壊してみる」にしようかな。だって、だいたいうまくいかないときってセルフイメージがコチコチになっているときで、自分可愛さMAXになっているときですから。一番の開運メッセージではないでしょうか。
にしけい