占いのお仕事をされている方から、下記のようなご質問(?)をいただいたので、お答えしていきます。
他の当たる占い師に「こういうことを言われた」という話をされると、嫌な気持ちになります。なぜそのようなことをわざわざ言うのでしょうか?
私のことをどうでもいいと思っているようにしか見えません。言われた方としては複雑な心境です。
いろんな占い師に占ってもらっているのは悪いことではないと思いますが、それを言う人の心理はどういうものなのでしょうか?
その人の占いを信じているのであれば、その人のところに占ってもらいにいけばいいのに、なぜ私のところに来て、わざわざそれを言うのでしょうか?
かなりお怒りのようですが…笑
まずはお茶でも飲んで、落ち着いて読んでください🍵☕️
これは一言で言うと「思い込み状態の保持強化儀式」ですね。
その人にとって都合の良い特定の状態のイメージ(○年後に彼氏ができる、大企業に就職できるとか)を強化するために、「当たる占い師」や「すごい先生」に言われた…という第一段階の思い込み保持儀式が行われます。
「すごい人に言われたから、そのイメージは具体化するだろう」という縛り(結びつけ)を強めるわけです。
それで、その思い込み保持儀式が十分機能していたら、他の人にわざわざ確認する必要はないんですね。例えば、すごい占い師の先生に「将来は大金が転がり込む」と言われたことによって、そうなる思い込みイメージが形成されて、本当にそうなっていきそうな「実感」があったら、それをそのまま信じるんですね。
でも、「いつまで経っても大金が転がり込む気配がないぞ?」「本当なのか?」という疑いのようなものが1ミリでも湧いてくると、「確認」したくなるんですね。新しい第三者に確認することで、改めてそのイメージ(大金が転がり込む)を形成し直して、思い込みを補強しようとするわけです。質問者さんは第二の思い込み保持儀式として求められているようですね。
「自分の行動が正しい」「自分の選択は間違っていない」という自信がシュワシュワと消えてくると、「確認したい気持ち」が強くなっていきます。現状とイメージに乖離があると強く感じれば感じるほど、確認したい気持ちが強くなるわけです。それで、「より強い願掛け(思い込み装置)」みたいなものが必要になってくるんですね。「すごい先生」「大金持ち」もそうですが、より強く思い込むために「より強い言葉」を求めるようになるんですね。
でも、思い込もうとすればするほど、それが達成できないという疑いも強くなっているわけですし、その質問が出ている時点で、本当は「前提(イメージ)」を見直したほうがいいのですが、「思い込もうとしてきた期間がもったいない」という気持ちが働いて、そのイメージを捨てるのではなく、強化しようとするんですね。
心理学で「サンクコストバイアス(sunk cost bias)」とか「埋没費用効果」とか言われますけれど、投資などでも最終的に「塩漬け」になっちゃうやつですね。
自信=可変性
ちょっと余談的になっちゃいますけど、「自信が持てないんです」というお悩みをいただきますが、「自信」ってほぼほぼ「柔軟性」と言い換えることが出来ます。
「自信」って、「どんな状況、どんな自分になってもそれを受け入れられる柔軟性」のことを指していて、どんな状況になってもある程度は対応・順応できるっていう状態が「自信がある」という状態なんですね。
それで、この柔軟性を失った状態になると、自信を失います。自信を失うと外にある誰かの言葉を信じたくなります。「こうあるべきだ」みたいな考えが強くなっている状態って、自信を失っている状態とほぼ同義なんですね。
「柔軟性≒可変性≒対応力≒自信」なので、自分の中にあるセルフイメージを壊したり、固定観念を壊すことで柔軟性が増えて、自信がついてくるんですけど、「思い込み状態の保持強化儀式」はイメージや固定観念を強めようとする行為なので、余計に自信を失っていくんですね。「条件やこだわりの多さ」と「自信」は反比例します。
親や先生や身近な人から強く否定されたとか、しつけが厳しかったとか、言葉や言葉の暴力を受けると、自信を失いやすいんですね。でも、パートナーや上司が変わって「足りてる部分」に目を向けるようになると、だんだん変わっていく人もいます。
なので、まずは「できているところ」「足りてるところ」を肯定することが大事かもしれません。より強い言葉による願掛けよりも、何気ない普段できていることを実感できることのほうが、長い目でみるとその人を変えていく力になります。
質問者さんも、お客さんをジャッジするのではなく、なんとなーく自分自身ができているところ・足りているところに目を向けてあげてください。「他人の足りていないところ」に目を向けるのではなく、まずは「自分の足りているところ」です。
にしけい




