博士「結婚するかどうか100%当てることができる『結婚測定器LOVE100%』で占い師をするぞ!」

博士「私はカップルが結婚するかどうか100%当てることができる『結婚測定器LOVE100%』を開発しました。この機械の的中率はとにかく100%なんです。そういう前提で進めていきます。でないと、このブログ記事が成立しないので、そういう体で進めていきます」

博士「私はこのLOVE100%を使って、占い師のようなことを始めました。今日も結婚するかどうかを知りたいカップルからの予約がどっさり入っています。これを使えばウハウハです。さっそく1組目のカップルが来ました」

カップルA男性「私たちは結婚するでしょうか?」

博士「どれどれ、じゃあ占ってみましょうか…(スイッチポン!)」

ピピピピピピ…ポン!

博士「おめでとうございます!結婚しますよ!」

カップルA女性「やった!占い師さんありがとうございます!」

…その後カップルAは結婚した。

 

博士「やはり、私が開発したマシーンは完璧ですな!お、次のカップルが来たようです…どうぞ〜」

パラドックスカップル(PC)「こんにちは〜!」

博士「はい、どうぞ。じゃあそこにおかけください」

PC男「占い師さんの評判を聞きつけてやってきました!」

PC女「100%当たるってすごいですね(にこにこ)」

博士「はい、私が作ったマシーン…オホン、私の占いは100%当たりますぞ」

PC男「へぇ〜!すごいですね!」

PC女「じゃあ、私たちも見てもらえますか?」

博士「もちろんですとも!」

PC男「よかった!実は僕ら二人にはとある取り決めがありまして…」

博士「何ですか?」

PC女「私たち実はパラドックスカップルなので、博士の占いで「結婚する」と言われたら結婚しなくて、「結婚しない」と言われたら結婚する…という制約を設けられたカップルなんです…」

博士「え?どういうことですか?」

PC男「ですから〜、僕らは結婚占いの結果によって結婚するかどうかが変わってしまうカップル、パラドックスカップルなんです」

博士 (パラドックスカップル?よくわかりませんが、このマシーンは100%当たりますから、やってみますかね…)

博士「とりあえず、やってみましょう」

PC「「お願いします!」」

 

 

結婚測定器LOVE100% ラブスイッチオン!ポン!

 

ピピピピピピピ…

 

ピピピピピピピ…

 

 

ピピピピピピピ…

 

 

 

ボカーーーーン!!!!

 

 

 

 

 

 

チューリングの停止性問題

 

コンピュータ科学において、最も基本的な「コンピューターの限界」があります。その1つが「停止性問題」です。

計算機科学の父とも言えるアラン・チューリングが1936年に証明したこの問題は、任意のプログラムが停止するかどうかを判定する汎用アルゴリズムは存在し得ないというものです。

簡単に言うと、「すべてのプログラムが停止するかどうかを事前に完全に判断できるプログラム」は論理的に存在できないのです。この話では、「結婚測定器」がチューリングマシン(理論上の計算機)に対応し、「停止するかどうか」を「結婚するかどうか」に置き換えてみました。

パラドックスカップルの条件を処理しようとすると、機械は矛盾に陥ります:

もし「結婚する」と予測すれば→彼らは結婚しない→予測は間違い
もし「結婚しない」と予測すれば→彼らは結婚する→予測も間違い

つまり、どちらの予測をしても結果は予測と反対になり、「100%正確な予測」は不可能になります。この停止性問題が起きたため、LOVE100%は爆発してしまったわけです。

 

AIとかコンピュータにも限界がある

 

僕が中学1年のころ「モーニング娘。」が流行しました。2001年に出たモー娘の「Say Yeah! -もっとミラクルナイト-」という曲に「これほど表計算が発育したコンピューターでも女の子のニュアンスは割り出せない!」という歌詞があります。

当時大流行したこともあり、サルのように聞いていた曲なのですが、この歌詞はチューリングの停止性問題を示唆していたのかもしれません(そんなことないでしょうけど)。

どれほど高度なAIが開発されても、理論的に解決できない問題が存在するのです。現代のAIは膨大なデータと複雑なアルゴリズムを駆使して驚くべき予測を行いますが、以下のような根本的な限界があります。

完全な予測の不可能性:
どんなにAIが発達しても、特定の種類の問題には100%正しい答えを出せません。

自己参照のパラドックス:
AIの予測自体が結果に影響を与えるような状況では、完全な予測は理論的に不可能。

計算可能性の境界:
人間の直感や創造性には、アルゴリズム的に捉えきれない部分が存在します(モー娘の歌詞参照)。

AIはこれからも発展し続けるでしょうし、もっと利用者が増えると思います。しかし、「すべての問題を解決できる完璧なAI」という概念自体が論理的に成立しないこと頭の片隅に置いておくことが大事かもしれません。

結婚測定器が爆発したように、万能のAIという幻想も、いつか論理の壁にぶつかることになるのです。

あと、「100%的中する」と豪語する占い師さんも要注意っす。パラドックス相談者が来たらすぐに爆発することになります。

にしけい

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。著書は50冊以上。三児の父。詳しくはこちらから。

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