お金と決意(インド旅行記12)

2013年1月15日 Agra

15ドルあると思っていたけれど、5ドル(200ルピー)しかなくて。

 ルピーもゾウ・マッサージ・ジャンタルマンタルの入場料などたくさん使ってしまった結果

1520ルピーしかない。全部で2700円ぐらい。

 

タージマハルの入場料が750ルピーで

ニューデリー駅から空港までタクシーでだいたい700ルピーぐらい。

 

タージマハルに入ったら残金1000ルピーだから1600円ぐらいか。タクシー代をとっておいたら残り3日を300ルピーで生活することになる。

 

インドに来てからお金のことばかり考えているような気がする。

 

コビンさんに「あなたにはチップを渡したいし、タージマハルは諦めます」と話したら、難しいような悲しいような顔をしていた。

 

何か考えていたようで最後に

 

「Keiを必ずタージマハルに連れていくと約束する」

 

と言って握手してくれた。

 

シンプルな手相のその手はとても大きく、力強かった。

グッと握手した瞬間、グッとこみあげそうなものがあった。

 

インドと言えば、タージマハル。

移動の途中でも何度も話が出ていただけに、コビンさんは気にしていてくれたのかもしれない。

 

「そのお金で、次の街のバラナシでどうやって生きていくの?」

「何食べるの?ちゃんと食べられるの?」

 

というコビンさんの言葉に、自分の準備不足・計画性のなさに情けなくなり、また目の奥が熱くなった。

そして、こんな1人の旅行客に優しくしてくれるコビンさんに感謝の気持ちがうわーっと胸の中に広がった。

 

それでも僕は、コビンさんに感謝の気持ちを伝えたかった。

どうすればこの気持ちが伝えられるか考えた結果、手紙を書くことにした。

あとは日本に帰ってから彼の好きなピーナッツを送ることなどを思いついた。

できることを全部やろう。

 

バラナシのホテルは朝食だけは付いているらしいし

コビンさんからもらったピーナッツと水があれば何とかしのげる!

少ないけど、800ルピーはチップとして渡せるはず!生きる!生きて帰る!

 

=====

 

この日記を書いているアーグラで最後に泊まったホテル。

カギが壊れているし、停電するし、もちろんシャワーは水だし、夜に外から銃声のような破壊音が聞こえてくるし、開かない謎の棚の扉があるし、めちゃくちゃ怖かった。

 

そんなとき、実家の母から「じいちゃんがあんたの無事を祈って仏壇に手を合わせてるってさ」というLINEが届いて全米とにしけいが泣いたのは言うまでもない。

 

インド人に怒鳴られて、インド人に優しくしてもらって。遠く離れた地の家族の優しさに触れて感情が大きく揺れ動かされた夜だった。

 

にしけい

まさかのタージマハル。そして、別れ(インド旅行記13)

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書いている

西田 圭一郎 (にしけい)

1987年富山市生まれ。化学系工学修士。商社の開発営業職を辞めて、占いとWeb開発などを生業にしています。趣味は読書と旅とポケモン。文章を書くことが好きです。三児の父。詳しくはこちらから。

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