どうも、にしけいです。
前回の記事で桜の開花を予測することへのメリットも含めた緒言を書きましたが
今回はその予想の仕方についてです。
ひとえに「開花予想」と言っても、いくつも方法があります。
今回はいくつか論文やホームページの記事を読んで、自分なりに予測方法を考えてみました。
温度変換日数法
気象庁も使っているDTS(温度変換日数)から求める方法です。
ミナミヌマエビが抱卵してから孵るまでの日数は
600 ÷ 温度[℃] = [day]
という式で大体計算することが出来ます。
例えば、20℃の水槽で飼育していた場合、600÷20で孵化までに30日間かかるという計算です。
このように、生き物は温度の蓄積で冬から休眠打破(目を覚ます)する時期を読みとっているようです。
さて、桜はいつ目を覚ますかというと…
DTS=exp(9.5×10^3×(Ti-Ts)/(Ti×Ts)) …(式1)
という式から求めることが出来ます。
このDTS(温度変換日数)の蓄積が起算日から21.5に達すると開花すると言われております。
何のこっちゃという感じですが…
いろんな文献を読んでいるとアレニウスの式の変形だということがわかりました。
反応速度K=Aexp(-Ea/R*T) …(式2)
A=定数、Ea=活性化エネルギー、R=気体定数、T=絶対温度
「アレニウスって誰?」って人は
この式が化学反応は温度が高いほど反応速度が大きくなることを表しているということだけ覚えておいてください。
(式2)をサクラに当てはめて変形させて得られたこの式。
DTS=exp(9.5×10^3×(Ti-Ts)/(Ti×Ts)) …(式1)
9.5×10^3がソメイヨシノの温度特性値で(式2)でのA, Eaにあたります。
この数値を使わずに気体定数Rと温度特性値Eaを入れている論文もありました。
Ti=その日の平均気温 [K]
Ts= 288.15 [K]
(15℃に換算したときのソメイヨシノの成長日数を表しているので)
このTiに入れる気温の出し方にもミソがあるようで観測地点の温度差によって生じる誤差を補正するためにチルユニットという時間の補正値を使う研究者も。
基本的には、アレニウスの式から変形させた温度変換日数を蓄積させる方法なんですが
定数や平均のとり方にもノウハウがあるようです。
実際に平均気温が5℃の場合を計算してみると
DTS=exp(9.5×10^3×(Ti-Ts)/(Ti×Ts))=0.306
となります。
あと、蓄積の計算を開始する起算日。これが結構重要です。
僕は最初「前年に桜が咲いた日を起算日にするのかな?」と勘違いして計算してみると
開花までのDTSが600日とかよくわからない数値が出てきたんですが…
実際はその年の2月初旬を起算日とするようです。これも地域差があるようですが。
(こういう簡単なことに気づくまでに時間がかかってしまった)
つまり、2月10日を起算日として
毎日平均気温が5℃だったとすると、DTS=0.3 なので
21.5÷0.3 ≒ 71日
なので、2月10日に71日足して、サクラは4月22日に咲くという予想になります。
もちろん、毎日平均気温が5℃ということはありませんから、サクラはもっと早く咲きますが…
というわけで、御託が長くなりましたが次の記事で、いよいよ [予測編] に入ります。