何人かの生徒さんから、映画「国宝」が良かった!ぜひ観に行ってください!とすすめらていたので、滑り込みセーフで観てきました。
感想を書いていきますが、ネタバレも含む内容なのと、もしかすると少数意見の感想かもしれないので、不快に思われた方は別のページを開いてください。
映画「国宝」の感想
映画を見終わって最初に思ったことは、「しょうがないよね」ってことです。
その道・そのポジションで生きていくしかないないんですね。それは主人公以外にも当てはまるし、歌舞伎の世界以外でもそうでしょうし、誰もがそうなんです。悲観している・絶望しているわけではなくて、描いているのは普遍的なことだなと思いました。
万菊(田中泯さん)の言葉がいくつか印象に残りましたが、その景色はその人にしか見えないし、それぞれが与えられたリソースの中でどう生きていくか…って誰にとっても同じテーマを抱えているのでは?と、考えると主人公の「特別性」のようなものが感じられず、物語のテーマとしては普通のことを言っているのではないかなと思いました。
それでやっていくと決めたらそれでやっていくし、逃げ出したいこともあるし、逃げる人もいるし、残り続ける人もいる。それは自然なことだし、「しょうがないよな」という感想が一番最初に浮かびました。
原作を読んでいないので、途中で「???」という点もいくつかあったのですが、全体的に「自分可愛さによる不幸」みたいなものが起きていて、でも、それも割と形は違えどいろんな人のいろんな場面で見られる普遍的なテーマなので、ストーリーに心を打たれる…という感じになりませんでした。3時間の映画でしたが、ちょくちょく作られた泣きどころ・盛り上げどころに気づけてしまうぐらい、冷静に観ていました。
お墓について
花井半次郎(渡辺謙さん)と喜久雄(吉沢亮さん)がお墓参りをするシーンがあるのですが、花井家のお墓が新しすぎる点と、俊介(横浜流星さん)が途中でいなくなったり、半次郎・俊介が糖尿病を罹患していることを考えると、間違いなく転墓しているなと思いました。フィクションではありますが、そこだけは妙にリアルだったというか、違和感と納得があった場面でした。
俊介に男の子が生まれていますが、歌舞伎役者になりたくなさそうだったので、半次郎よりも上の家系図が気になりました。1964年から物語が始まっているので、それよりも上の世代がいるとしたら、もうちょっとお墓は古いはずなんですが、原作にはそのあたり細かく書いてあるのでしょうか。それとも、僕が見落としているだけでしょうか。そのあたりが気になってしまい、映画に集中できなかったのかもしれません。冷静に観ていました。
どこを見ているのか
観た人たちからの前評判の熱量が大きかっただけに、見終わったあとに「自分は感受性が欠落した、冷たい人間なのだろうか」と思ってしまいました。感想の冒頭に書いたように、「その道・そのポジションで生きていくしかない」というしょうがなさ、「自分可愛さによって起きる不和」というしょうがなさが、現実世界の至るところで見受けられると考えると、そこまで惹き込まれる物語ではありませんでした。
これを読んでいるあなたも、何かしらの力に流されながらも、その中で最善だと思うことを選んできているはずです。そんなことを言ってしまうと、元も子もないのですが、病気なども含めて、いろんな不可抗力(しょうがなさ)とどう生きるか…という点では割と普通のことを言っている話だと思いました。
ちょくちょく「そうはならないでしょ」という気持ちが浮かびつつ、「そうなっても仕方ないのか」という気持ちも浮かびつつ、眺めていました。
演技・演出・映像・音楽などは「これは大変だったろうなぁ…」と思う点が多々ありましたし、広告や制作費や経費のことを考えると、それはそれで「こうなるよなぁ」という感想でした。まだ観ていない人にめちゃくちゃおすすめするかというと、そこまでしませんし、誰かに何かをおすすめすることの難しさを感じました。同じ映画を見ていても、「どこを見ている」か、「どんな景色が見ているか」って違いますよね。
率直な感想を書きました。生意気言ってすみませんでした。
にしけい




