【六本木歌舞伎】地球投五郎宇宙荒事を観て

 

表題の通り、市川海老蔵、中村獅童主演、宮藤官九郎脚本

「地球投五郎宇宙荒事」の名古屋公演を観に行ってきました。

 

歌舞伎を生で観たことがなかった自分ですが、これはおそらく歌舞伎の中でも”異端”なんじゃないかと思います。

自分が想像していた歌舞伎の「お堅い」イメージとは違って、笑いあり、笑いあり、笑いあり…さすがクドカンさん。

歌舞伎なのに、スターウォーズやガンダム、進撃の巨人やワンピースといったワードまで飛び交う舞台。おそらく僕たちの世代はドンピシャで面白いと思える内容でした。

帰りの道中、70歳ぐらいのおばあちゃんが「途中わけわからんかったけど、おもしろかったね~」と爽やかな笑顔で息子らしき人に話していました。

細かいネタを拾い切れなくても、あらすじがわかりやすく豪快に観客の心を持っていく演技・演出・脚本でした。

 

自分がぶち当たっている”モヤモヤ”の答えが劇中に

 

観る人によって感じることが違って当たり前。

“答えを提示しないからこそ、得るモノがそれぞれ違う”ということに最近気づいた自分としては

とても素直な気持ちで観ることができたと同時に、自分に欠けていたものってこれなんじゃないかなというものが見つかりました。

 

静と動

 

歌舞伎の動きって、とても「静」と「動」がきっちりと分かれているんですよね。

動かないところはきっちり止まる。だからこそ、動くところが印象的に見える。メリハリがきっちりしている。

凄く二元論的なんですよね。白と黒、善と悪。決して混ぜずにグレーは作らない。コントラストがはっきりするから、目を引くし、惹きこまれる。

ZIPFMナビゲーター&ナレータースクールで橋本美穂先生に指摘されたこと。

「あなたのしゃべりは内容も話し方もコントラストが弱い」

しまいには「間」を埋めようと「えー」と、話す前に付けてしまう。つなごうとしなくていい。音を出さなくていい。クレッシェンドは要らない。休符。

間が合った方がキレイに聞こえるし、より伝わる。

プロの「間」と「動き」を肌で感じ取り、「こういうことか!」と納得させられました。

 

なぜメリハリがついた方が心を動かすのか

 

無秩序の度合いを表す「エントロピー」

部屋中にモノが散漫し汚い状態=エントロピーが高い

キレイに保たれている状態=エントロピーが低い

いわゆる、乱雑さを表す言葉なんですが。

「エントロピー増大の法則」というものがあって。

これは地球上のありとあらゆるものは放っておくと時間と共にエントロピーが増え続ける、つまり乱雑になっていく…という物理法則なんです。

水に血液をポタリと垂らしたとき、血は分散して見えなくなります。

最近読んだ原始仏典には「諸行無常」という言葉がよく出てきますが、まさに「エントロピー増大の法則」の換言にあたるのではないでしょうか。

エントロピーが増えることで、お金も、強さも、美しさも全ては衰退していく…生物は全て死に、バラバラに分解されます…

自分という存在が消え、地球や他のモノと同化していく…ちょうど先述した、水中で分散する血液のように。

白いモノも、黒いモノも、全て混ざってグレーになっていく。グレーかどうかはさておき「同化」「同色化」が進む。

 

だからこそ、白黒はっきり分かれてメリハリがついているモノに人々は惹かれ、あるいは希望を抱く。

人々はエントロピー増大という宇宙法則を逆行する非自然な「混ぜない」「きっちり分ける」というものに心奪われる。アンチエイジング・反骨心を感じる。

陰と陽・男と女・生と死・喜びと悲しみ…メリハリがあるから、人生は楽しいのかもしれない。

 

というわけで、本論とズレてしまいましたが

その道のトップを行く方々の芸を観させてもらい、大きなヒントと活力を得られた気がします。

今後の自分の芸に生かしていきたいと思います。

 

あ、違った。

 

生かして「いきます」でした!

 

にしけい